猫の隠れ場所とストレスの関係性 研究から見えた「隠れ家」を導入する意味

猫の隠れ場所とストレスの関係性 研究から見えた「隠れ家」を導入する意味

「うちの猫、緊張してるのかな」と感じた経験はないでしょうか。来客があると押し入れから出てこない、引っ越してから食欲が落ちた、新しい家具を置いたら警戒して近寄らない。猫のストレスサインは分かりにくく、飼い主が気づいたときにはすでに数日が経っていることも少なくありません。


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シェルターでストレス状態が早期安定するとの研究

Vinke, Godijn & van der Leij(2014)の研究は、シェルター(保護施設)に収容された猫を対象に、隠れ箱の有無でストレスの推移がどう変わるかを調べたものです。隠れ箱を与えられた猫は、与えられなかった猫より7日早くストレス状態が安定した、という結果が示されています。7日、つまり約1週間の差。数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、猫にとって慣れない環境でストレスを感じている1週間は、そう短くはないと思います。この結果はその後の研究でも再現されており、van der Leij et al.(2019)による12日間の追跡調査でも同様の傾向が確認されています。

家ネコにも共通する隠れ家の必要性

シェルターの猫と家庭猫は環境が異なりますが、隠れることで安全を確認するという本能は共通しています。猫は視野が広く、物音にも敏感です。周囲を見渡せて、かつ自分の体が収まる閉じた空間があると、「ここなら安心して休める」という感覚が得られるのだと思います。隠れる場所がない環境では、常に周囲を警戒し続けなければならない。その緊張状態が慢性的に続くことが、猫にとっての負荷になっているようです。

Ellis et al.(2021)の研究では、隠れ家や棚板の提供によって猫のストレスホルモン(糞便グルコルチコイド代謝物)が有意に低下することが示されました。この研究で興味深いのは、内気な性格の猫ほど効果が大きかったという点です。警戒心が強く、なかなか人に慣れない子。来客があると真っ先に隠れてしまう子。そういった猫にとって、「安心して隠れられる場所がある」ということは、体の反応として測定できるほどの違いをもたらすようです。

Cat Cellarと、隠れ家としての設計

Cat Cellarには複数の穴が開いています。爪とぎとして、あるいはくつろぐ台として使われることが多いのですが、「穴に頭を突っ込んで落ち着いている」「半分だけ体を入れて外を眺めている」というお声もいただきます。完全に体が隠れなくても、自分の体が「入れる」空間があるだけで、猫の感じ方は変わるのかもしれません。

S字にうねる構造はその曲線の内側に「くぼみ」を作っていて、体をそこに収めると安定します。周りを囲まれながらも、前後の視野は確保されている。「隠れながら、見える」という状態が、猫が本能的に好む場所の条件に近いのだと思います。完全な密閉空間でも、完全な開放空間でもない。その中間あたりが、多くの猫にとって居心地のよい場所になるようです。

「安心して隠れられる場所を一つ作ってあげる」という考え方は、猫の環境整備としてとてもシンプルです。大がかりな模様替えをしなくても、一つ置くだけでその子の居場所が変わることがある。研究が示す「隠れ家の効果」が、家庭の猫にも当てはまるかどうかは猫によって異なりますが、試してみる価値はあるのではと感じています。特に、もともと警戒心が強い子や、最近環境が変わった子には、まず一つ、隠れられる場所を用意してみるという選択をご提案できればと思います。

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※参考:Vinke CM, Godijn LM & van der Leij WJR. Will a hiding box provide stress reduction for shelter cats? Applied Animal Behaviour Science, 2014. DOI: 10.1016/j.applanim.2014.09.002 / van der Leij WJR, et al. The effect of a hiding box on stress levels and body weight in Dutch shelter cats. PLOS ONE, 2019. DOI: 10.1371/journal.pone.0223492 / Ellis SLH, et al. Effects of the provision of a hiding box or shelf on the behaviour and faecal glucocorticoid metabolites of bold and shy cats. Applied Animal Behaviour Science, 2021. DOI: 10.1016/j.applanim.2021.105221

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