猫の居場所、千年前の宮中にもあった

猫の居場所、千年前の宮中にもあった

日本最古の "猫の飼育日記" が残されたのは、いまから1100年以上前のことだそうです。家の中に猫の場所を作るという習慣は、私たちが思っているよりずっと長く続いてきたようです。

『宇多天皇御記』という記録があります。第59代宇多天皇が父・光孝天皇から譲り受けた黒猫について、毛色や狩りの様子を細やかに書き残した日記です。日本最古の "猫の飼育日記" とも呼ばれていて、平安時代の887年頃のもの。「黒くて他の猫と違い、優れた狩りをする」といった具体的な記述まで残されています。それから100年ほどあとの999年には、第66代一条天皇が宮中で生まれた子猫に「命婦のおとど」という名前を付け、五位の位を授けて宮中で大切に扱ったと『枕草子』『小右記』に書かれています。猫を「家の中の住人」として迎える感覚は、少なくとも千年以上前から、この国の暮らしの中に確かに存在していたようです。

江戸時代に入ると、猫はさらに身近な存在になっていきます。歌川国芳をはじめとする浮世絵師が無数の猫絵を残し、武家屋敷の襖や掛軸にまで猫が描かれるようになりました。江戸後期には武家や大名が浮世絵師に猫絵を発注する文化まで生まれていたといいます。商業面でも、猫1匹が5両(現在の数十万円相当)で取引された記録があります。当時は養蚕業の蚕を守るネズミ駆除役として猫の需要が高騰していました。それだけでなく、町人の家でも商家の店先でも、猫が "家の中の風景の一部" としてごく自然に存在していたのがこの時代の特徴だと考えられています。

平安貴族の宮中にも、江戸町人の家にも、武家屋敷の襖絵の中にも、猫の居場所がありました。家の中に猫のための場所を作るというのは、日本では特に新しい習慣ではないんですね。それはちょっと心強いことのように思えます。私たちが「うちの猫の指定席をどこに置こう」と悩むのは、千年前の宇多天皇から続く、ごく自然な悩みなのかもしれません。

ただ現代の住宅は、平安や江戸の家とは違って、廊下も部屋もきっちり仕切られていて、縁側のような曖昧な空間も少なくなりました。家具も人間中心に選ばれるのが普通で、猫が「ここが自分の場所」と認識できる目印を、意識して用意しないと作りにくい構造になっているように感じます。

長く猫と暮らしてきた日本の家には、それぞれの時代に「猫の場所」がありました。その続きを、いまの住まいに少しだけ作る。そんなご提案として、Cat Cellarをお選びいただけますと幸いです。

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※参考:『ねこ検定 公式ガイドBOOK 中級・上級編(新版)』p.116-119(今泉忠明・服部幸・高野八重子 監修)

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