猫の家具に"隠れられる場所"が必要な理由

猫の家具に"隠れられる場所"が必要な理由

猫と暮らしていると、気づけば押し入れの奥や紙袋の中、棚の隙間にいることがあります。呼んでも出てこない。でもしばらくすると何事もなかったように現れる。あの行動には、ちゃんと理由があるようです。

猫はどんな部屋でも「自分の場所」を見つける

2025年に発表されたLiとKrutasaenの研究では、猫の視点から家具をデザインするためのヒントが報告されています。3匹の猫を3ヶ月にわたって観察したこの研究で、興味深いことが分かりました。猫は部屋の広さが5m²であろうと220m²であろうと、自分のお気に入りの場所を見つけ出す。活動する場所、食事の場所、休む場所を自然に分ける。空間への適応力がとても高い動物です。

ただし一つ、条件がありました。「隠れられる場所」があること。論文では「Hidden design」という言葉で、家具の内部に猫だけの休憩場所を設ける設計を推奨しています。壁の隙間や家具の内側など、人の目から少し離れた静かな空間。それがあるかないかで、猫の行動が変わるのだそうです。

隠れる場所がないとどうなるか

同じ研究の中で、ある猫の空間を急に狭くした場面が記録されています。その猫には不安に関連する行動が見られるようになりました。論文はここで、空間の変化は段階的に行う必要があること、そして猫が安心できる「安全ゾーン」や「静かなコーナー」を家の中に設けることで、猫はコントロール感を得られると述べています。

コントロール感、というのは少し意外な言葉です。でも考えてみれば、猫が自分から隠れ場所に入るのは「逃げている」のではなく「自分で安心できる場所を選んでいる」ということ。自分の意思で出入りできる隠れ場所があるかどうかが、猫の精神的な安定に関わっている。

ここで一つ、論文のケーススタディに出てくる猫用家具の評価が目に留まりました。テント型のベッドについて、「入口が一つしかないため、猫によっては好まない場合がある」「複数の入口を設けることで魅力が向上し、緊急時の出口にもなる」と指摘されています。隠れる場所は、理想的には、ただ暗くて狭ければいいわけではない。出口が複数あること、つまり「閉じ込められない」ことも大事な可能性があることが示唆されています。

Cat Cellarには大小さまざまな穴が空いています。猫はどこからでも出入りできるので、もう1匹に出口をふさがれるということがありません。薄いダンボールの壁越しに外の気配は感じられるけれど、中にいれば視線からは守られる。論文が述べている「隠れられて、かつ逃げ道がある」という条件を、結果的に満たしている構造です。

猫にとって隠れ場所は、怖いから逃げ込む場所ではなく、安心するために自分で選ぶ場所。この論文を読んで改めてそう感じました。猫の家具を選ぶとき、「隠れられるかどうか」と「そこから自由に出られるかどうか」に少し注目してみると、猫ちゃんにとって居心地のいい空間づくりのヒントになるかもしれません。

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※参考:Li L, Krutasaen W. Home Product Design from the Perspective of Cats: Innovative Case Study Based on Limited Space. International Journal of Sociologies and Anthropologies Science Reviews, 2025, 5(4), 149-162. DOI: 10.60027/ijsasr.2025.6249

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